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uncertain sight |不確定な光景

「見る」という行為は可視光線(電磁波の中の人間の目で捉えることができる特定の範囲の波長)を介した間接的なものであり、我々は三次元の世界をダイレクトにありのままに知覚しているわけではない。

認識のプロセスに於いて網膜上に映し出された光学的な情報が一次視覚野から観念のフィルターを通過し個々の差異や奥行き、意味が付加されることによりこの世界を視覚的に認知する。

しかし当然であるが認識する各々の主体により差異の切り取り方や意味付けの内訳は異なる。

​インターフェイスである網膜と、情報を処理し認識する主体(脳、或いは意識)の存在により我々が知るこの世界は出現し、さらにそれは主体の数だけ多元的に存在すると言えるのではないか。

​網膜上に投影される純粋に光学的な情報と、認識の間に於いて生成されるもの。それは何ものでもない形象、明確な実体を伴う以前の未決定な段階としての色(=光)の羅列という「不確定な光景」(uncertain sight)。

​そこに何を見るかは鑑賞者に委ねられ、場合によっては何も存在しないと捉えることも可能である。

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